2017年1月26日木曜日

Gゲージ車両の作り方 二軸動力(その2)

(旧ブログ「吊り掛け電車の通い道」の記事を、編集しまとめたものです。)


Gゲージの動力車両を作る、今回は二軸動力の電気配線をしていきたいと思います。
前回の記事はこちら


モーターで動くタイプのGゲージでは、主に2つの電源方式が使われています。

一つはコンセントからパワーパックを介して線路に通電し、線路から集電する方式。
もう一つは、車両内に電源を搭載し、遠隔制御する方式です。

1つ目の線路から集電する方式は、Gゲージ以外にも多くの鉄道模型で用いられている方式で、パワーパックで細かな速度制御ができるなどのメリットがあります。

しかし、Gゲージだけなぜか、メーカーによって線路のプラスマイナスが異なるというデメリットがあります(レーマン製は右側のレールがマイナスの時に前進し、他社は右側マイナスで後進してしまう)。
また、Gゲージでは、ポイントが非選択式という方式を採用しているため、線路に電圧を入れると、駅にいる列車全てが動き出すという事態が起きてしまいます。

そこで、今後、線路集電のGゲージ車両を自作しようと考えている方は、動力に逆転スイッチを取り付けることをおすすめします。
このスイッチを取り付けると、先程の線路集電のデメリットが全て解決します。


さて、2つ目の電池を搭載する方式ですが、こちらは最近のラジコン技術の進化で、少しずつ出始めている方式です。

こちらは、線路に電気を流さなくても走る(線路がなくても走ります。)ほか、前述のような極性の違いもありません。

しかし、遠隔制御なので、電波の種類によっては、他の電波と混信したり、受信距離以上に広いレイアウトでは、コントロールが効かない可能性があります。


今回は、線路集電と電池駆動をスイッチで切り変えられるように配線していきたいと思います。
配線図は以下の通りです。
線路電源と電池電源を併用する時の配線図


1.集電板の製作
線路から電気を取るためには、集電板を車輪に接触させる必要があります。
集電板はLGBなどで製品化されていますが、自作することもできます。
集電板は、弾力のある金属がよいので、0.5mmの燐青銅板を使用します。
車輪をうまくこするように調整(こする力が強すぎると車輪回転に影響する)したあと、床板にネジ止めします。
燐青銅板から製作した集電板
床板に取り付けた集電板(ネジ止めされた銅色のパーツ)
2.逆転スイッチ・切り替えスイッチの取り付け
今回は、逆転スイッチにタミヤの6Pスイッチを使用しました。
タミヤのスイッチは、中立状態でOFFにすることもできるため、線路上で停止させることができます。(同様のタイプのスイッチは他社でも発売されています)
なお、6Pスイッチの中には、バネで中立状態に戻ってしまうものもありますが、そのタイプは逆転スイッチとしては使えません。

床板にスイッチが入る穴をあけ、逆転スイッチをはめます。
線路電源と電池電源を併用する場合は、もうひとつ6Pスイッチを取り付けます。
床板にはめ込んだ逆転スイッチ
3.電池ボックスの取り付け
(線路集電専用の場合は不要です)
切り替えスイッチを電池に切り替えたときに使う、電池電源を設置します。
今回は、簡単に9v電池のフリー走行としました。
この部分に、RC基板を設置するとRC化できます。
RC化は、昔はトイラジ改造が主流でしたが、今はZigBeeやArduino等で簡単に自作できるようになりました。
床板に穴をあけ、9v電池用の電池ボックスを設置します。
床板に設置した電池ボックス(写真右手前)


4.電気配線
前述した配線図をもとに、電気配線をしていきます。
今回の配線図

ここまでで製作してきた集電板、逆転スイッチ、電源切換スイッチ、ギヤボックスのモーターを導線で接続していきます。
接続したところで正しく配線されているか確認した後、はんだ付けして配線完了です。
はんだ付けしたスイッチ
5.完成
はんだ付けが完了したら、動力の完成です。
完成した動力
この上に車体を作ると、Gゲージの電車になります。
車体を載せて完成させたところ
いかがでしたでしょうか?

今回はここまで

2017年1月10日火曜日

Gゲージ車両の作り方 二軸動力(その1)

(旧ブログ「吊り掛け電車の通い道」の記事を、編集しまとめたものです)


今回から、Gゲージ車両の作り方を紹介していきたいと思います。

第一回は、簡単な二軸の動力車両の作り方について

<用意するもの>
・Gゲージの車輪
(線路集電するのであれば金属車輪、電池電源の場合はプラ車輪、車輪を外すため、スポーク車輪ではなくプレート車輪【中央部に穴が開いていないタイプ】をおすすめします。)
・プラ板(床板用 厚さ3ミリ程度の厚めのものがおすすめ。無い場合は3mm厚の木製合板でも可)
・金具(軸受パーツと床板を固定するためのもの。作例ではユニバーサル金具を使用)
・ギヤボックス(作例では、タミヤのハイパワーギヤーボックスHEを使用)
・ギヤ(車輪伝動用。作例ではレインボープロダクツ製ギヤを使用)
・ボールベアリング(軸受の摩耗を防ぐ。使用しなくても可。作例ではタミヤのジャンク品を使用)
・スイッチ(逆転用。作例ではタミヤの逆転スイッチを使用。詳細は「電気配線編」で紹介します。)
・燐青銅板(線路集電する場合のみ使用。秋葉原千石電商等で販売。詳細は「電気配線編」で紹介します。)
・電池ボックス(電池を電源にする場合のみ使用。作例では006P電池ボックスを使用)
・12Vモーター(線路集電する場合のみ使用)
・導線(電気配線用。詳細は「電気配線編」で紹介します。)
・ネジ(作例ではM3タイプのネジを使用)
・車体素材(厚紙・プラ板・真鍮等お好みで。厚紙・プラ板を使う際は0.5ミリ厚以上の板を使うのがおすすめ)

・工具(Pカッター・ニッパー・ピンバイス・タップ等)


車両の製作

1.床板・軸受の製作

まず最初に、床板を製作します。
床板の形状は、製作する車両によって変わります。
今回は、電気機関車を作るため、中央部が少し広がった床板を作ることにしました。

タミヤの3mm厚のプラボードをPカッターで切り抜きます。

切り抜いた床板
次に、車輪を支える軸受を作ります。
軸受も床板と同じく、3mm厚のプラボードから製作することにしました。
車軸が入る部分は、車軸径に合わせて穴を開けます。(ボールベアリングを使用する場合は、ボールベアリングの外径)
軸受部分は、合板からは作りにくいかもしれません。
プラボードから製作した軸受
軸受部は、動力製作後、固定することにします。


2.動力装置の製作

次に、動力装置を製作します。

まず、ギヤボックスを仮組み(ネジを使わずに仮に組み立てること)し、動力配置をシミュレーションします。
今回は、ギヤボックスにタミヤのハイパワーギヤボックスHEを使用しました。
タミヤのギヤボックスはバリエーションが豊富で、さまざまなギヤ比のものが発売されているので、動力製作する際に便利です。
遊星ギヤボックスなどの少し変わったギヤボックスも発売されているので、それらを使用して少し変わった動力を作るのも面白いかもしれません。
今回使用したギヤボックス
今回は、このギヤボックスを横向きに設置して、クラウンギヤを使って2軸両方の車輪に伝動させることにしました。
動力配置のシミュレーション
次に、ギヤ付き車輪を製作します。
Gゲージでは今のところ、ギヤ付きの車輪は分売されていないため、レーマンの客車用車輪を一度分解して、ギヤをはめ込みます。
(注意!:ギヤ付き車輪への加工を行うと、メーカー保証対象外となる場合があります。改造は自己責任で行ってください)
レーマン製客車用車輪
レーマンの車輪は、3mm径の車軸と、左右に分かれる車輪パーツで構成されています。
(バックマンなど、他社の車輪は少し違う構造になっているようです)
レーマンの車輪の構造
ギヤ付き車輪にするためには、この車輪部分のパーツをいったん外す必要があります。
しかし、車輪部分は圧入されているため、なかなか外すことができません。
今回は、車輪を炎天下に放置し、車輪部分を温めてから外しました。
冬場は、湯せんで温めても外すことができそうです。
(温めて外す場合は、金属部分が大変熱くなるので、ご注意ください。また、車輪は曲がりやすい素材のため、慎重に外してください)
なお、温めて外す方法以外にも、万力に挟んでペンチで外す方法も使えそうです。
(万力を使う場合も、車輪が曲がらないよう慎重に外してください)

分解した車輪のイメージ
車輪の分解が終わったら、駆動力を伝える平ギヤをはめ込みます。
レーマンの車軸径は外側のプラスチックが6mm、内側の金属棒が3mmです。
今回は、車軸の外側の径に合うギヤがなかったので、タミヤの平ギヤ(穴径3mm)の穴を広げ、レインボープロダクツの、6mm穴のアルミボス(ギヤを軸に接続する部分)にはめ込み使用することにしました。
6mm穴のアルミボスにはめ込んだ平ギヤ
 ギヤができたら、車輪にはめ込み、先ほど外した車輪を再びもう一方の車輪にはめ込み、ギヤ付き車輪は完成です。
完成したギヤ付き車輪

3.動力台車の組み立て

次に、動力台車を組み立てます。
軸受にボールベアリングをはめ込んだ後(ボールベアリングは使用しなくても可)、床板と接続するため、金具を取り付けます。
金具は、取り外しができるようにするために、ネジで固定させます。
なお、作例では車輪の真上に金具を取り付けましたが、メンテナンスの際に取り外しが難しくなってしまいました。
そのため、製作される場合は、なるべく車輪の真上を避けて金具を固定することをお勧めします。
軸受に取り付けた金具
そして、床板にギヤボックス・軸受のネジ穴をあけ、固定させたら、動力装置の完成です。
完成したギヤボックス
この段階で、モーターが正常に動くかどうか、ギヤボックスや車輪に異常がないか確かめるため、コントローラーをモーターにつないで、試運転をします。
コントローラーと接続させた動力装置
この後、電気配線をしていくのですが、長くなってしまったので、つづきは次回。